誠一郎は、気の利いたデートコースなど皆無だ。

接待されることは、たまにあるが、そんなところはデートに相応しくない。

医局員とは、いつも居酒屋だ。
これも、最初のデートとしてはいかがなものか…

それに理緒は、あまり歩けない。
なら、温泉?いやいや、温泉はいくらなんでも早すぎだ。

かといって、映画は、音と光の刺激で非常に良くないし、会話が出来ない。

やっぱり、無難に、ホテルのフレンチかー

大学病院は駅から近い。駅には高層ホテルや、いいお店が沢山ある。

無難に、ホテルの夜景が見えるフレンチを
予約しようと思い至った。

理緒は亮二に、あちこち連れて行かれ、場慣れしてるだろうが誠一郎は、慣れていない。

なんとか、夜景の雰囲気でごまかそう…

そういえば、理緒は酒が飲めるのか?
聞けば良かった。

あ、LINEで聞けばいいのか。いや、当日、考えればいい。その方がスマートだ。

誠一郎はホテルのフレンチを予約し、理緒へのLINEに

「今週、土曜17:30にシティーホテルのロビーで待ち合わせしましょう。フレンチを予約しました。
食べれますか?」

と、簡素なLINEを送った。
理緒からすぐ返事があり

「もうご予約してくださったのですか?
お気遣い、ありがとうございます!
はい、楽しみにしております」

と、丁寧なLINEが届いた。

早い時間にしたのは、理緒の負担を少なくするためだ。

今日は火曜日ー

デートの日まで誠一郎は、きっとソワソワしなが
過ごす事になるだろうと思った。