──約束をしたあの日から10年。


私と大地は、高校1年生になっていた。


私は家の近くの高校に、大地は小学生の頃から続けているサッカーの強豪校である県外の高校に進学した。


そのせいか、中学までは毎日のように会っていた大地とも、最近はほとんど会うことはなくなっていた。


「あー、暑い」


夏休み目前の7月中旬。
1ヶ月半に及ぶ長かった梅雨が明け、今年も本格的な夏がやって来た。


あまりの暑さに、私が教室の自分の席で手をパタパタさせていると。


「鈴華、おはよう」


クラスメイトで、幼稚園の頃からの親友のレイナが声をかけてきた。


「ねぇねぇ、鈴華。もうすぐ夏休みだよ」

「そうだね」

「夏休みといえば、もうすぐ地元の夏祭りだけど。鈴華は、今年ももちろん大地くんと行くんでしょ?」