「聞いてるのー?」


気づけば私との話に夢中で、さっきから全然テレビを見ていない母。


「いいの? テレビ」


私のほうが気になって聞けば。


「いいのよ。録画もしてるから」

「あっそ」


どれだけ好きなの?


聞きなじんでいるけど何を言っているかわからない韓国語を耳に入れながら、私は写真をパタンと閉じた。


この人と一生添い遂げる未来なんて全く見えない。


「えっ? もうちょっとよく見なくていいの?」

「どれだけ見たって一緒だよ。じゃあ課題があるから」


課題なんてする気もないくせに、私はそう言ってこの場を切りあげた。


ドアを閉める前に目に入ったのは、悲壮に打ちひしがれたヒロインの顔だった。