ああ……やってしまった。
「自分で拭くから」
「何をおっしゃいます! お嬢様、お怪我はございませんか?」
「……大丈夫」
布巾に触れようものならすごい速さで交わされてしまい、私は片づけられる目の前のものを見ているだけしか出来ない。
お手伝いさんがそれらを下げたところで、母が「そうそう」と手をひとつ打った。
「東三条さんのご子息の写真、見る?」
……このタイミングでする? その話。
東三条さんのご子息、とは。私が政略結婚させられる相手のこと。
こんなテレビを見せながら私の政略結婚の話をするんだから、母の天然も相当なものだ。
唖然とする私をよそに、
「柳田、持ってきてちょうだい」
「かしこまりました」



