「もっとご自分の立場をお考えください。もうすぐ17歳になるというのにまったく。それに比べて律(りつ)様は──」 「はいはいごめんなさい」 すぐに兄と比べたがる柳田の話を棒読みで断ち切って。 「じゃあ、もう部屋に行くから」 逃げるようにリビングを出て階段を上った。 「妃翠、ご飯は? お腹すいてるでしょ?」 「食べてきたから大丈夫」 「食べてきたって、なにをー?」 階段下から母の声が響く。 私は部屋のドアを閉める寸前、振り返って叫んだ。 「すっごい美味しいもの!」