問題が発生したとき、トップに報告が行くのは最終手段。
下で処理して治めるのが常。
私の誘拐も例外ではないらしい。
身代金の要求があれば、また話は別だろうけれど。
「ねえ、やっぱり、お金目的なの?」
私が宝生家の娘だから……。
「違うって言ってんだろ」
訊ねるどれもを否定されて、正直意味がわからない。
私に恨みを持っているわけでも、お金目当てでもなかったら、一体なんなの。
しかも素性を晒して、私が警察に突き出したらどうするつもりなんだろう。
……そんなこと、するつもりないけれど。
「私が無事に帰れば、この誘拐はきっとなかったことになるよね」
全員の視線が私に集まる。
何が言いたいんだ、というように目を細める嵐。
怖いくらい整いすぎたその顔を見て、はっきり告げた。
「……私、あなた達のことは誰にも言わない」



