それでも相手が同じ学校の生徒だと知れば、もう最初のころに抱いた恐怖はなかった。
それよりも、これは一体どういう状況なのか混乱してくる。
なぜ、同じ学校の人に誘拐された……?
「俺は凌士」
どうしていいか戸惑っていると、自己紹介は続き。
「嵐」
目の前の彼まで名乗りだし。
「嵐……」
思わず名前を反芻すれば、希璃人が面白くなさそうに眉をひそめた。
「おい、嵐にだけ反応するってなんだよ」
「あ、それは……」
名前を反芻したのは無意識だった。
圧倒的存在感に、まるで磁石のように引き寄せられてしまうんだ。



