途中で言葉を止めた彼に視線を注ぐと。
どこか異質な空気をまとう男が、まっすぐ私を見ていた。
──”オマエを誘拐する”と言った男、だ。
やっぱりその瞳は、真正面から見ると吸い込まれてしまいそうな力を持っている。
「食ったことねえのか?」
「は……?」
その問いかけに、赤髪の男の割りばしが床に落ちた。
私はそれを横目で見ながら、ゆっくり首を縦に下ろす。
「マジかよ」
シルバーの男があざ笑うようにひとこと。
そう。
私は生まれてこの方、カップラーメンというものを食べたことがない。
正確に言えば、食べる必要性がなかったというか、食べる機会がなかったのだ。



