「妃翠ちゃん、今日は"宝生"っていう名前を出さないでいてくれたら助かる」


唐突に投げられた言葉に、私は一瞬面食らった。


放課後、学校の外で合流したのは、普通科の女の子3人。

ツケマで目がぱっちりな子。きれいに髪をまいた子。耳にピアスをたくさんつけた子と三者三様だ。


ツケマの子が麻美と知り合いらしく、今日のメンツの女子5人で先に合流したんだけれど。


「べつに、いいよ……」


私がそう答えると、


「ありがとうっ」


彼女たちは安心したように言って、両手を合わせてきた。