決して広くない廊下。
色んな人が往来する賑やかな昼休みで、速度が変わることなく歩き続けられているのも。
潮が引くように周りが道をあけているから。
嵐の歩く先に障害物などないのだ。
堂々と突き進む嵐に手を引かれる私は、もちろん顔など上げられるわけもなく。
BULE ROSEの部屋に入り、扉を閉めると嵐はようやく手を離した。
「はあっ……」
まるで、体育祭のリレーを全速力で走ったかのように心拍数が上がっている。
整えないと、不整脈を起こすんじゃないかってくらい。
「なんでっ、こんなこと……っ」
言葉だってうまく出てこない。実際走ったわけでもないのに、声が切れ切れだ。
「お前が危険を冒してまでここへ来た目的が果たされてないだろ」
「え?」
「また無茶して来られても困るから、迎えに行っただけだ」



