「もし俺が優しいと思うなら、羽乃愛が優しいからだよ。羽乃愛が俺に優しさを教えてくれたんだ」

「つまらない日常の中で、羽乃愛のいるこの病室を窓の外から見ているのだけが楽しみだった」

「ずっと羽乃愛と話してみたかった」

「勇気を出して話しかけたら、もっと魅力的な女の子だった。そんなの好きにならない方が無理だろ?」


大志が私の頬にキスをする。


「欲しいのは、血だけじゃない。羽乃愛、俺に愛も頂戴」


涙でぐちゃぐちゃの顔で、私は大志の顔を見上げた。

「絶対に病気なんかに負けないから!ずっと見守ってて」

「当たり前だろ?」

大志の顔が月明かりの逆光で見えない。

でも、きっと私と同じ表情をしている気がした。