パシャッ


「わ、冷たい!」


「きゃはは!」




背中が濡れる感触がして振り向くと、幼い男の子が満面の笑顔で水を振り撒いている。

楽しそうに遊ぶ男の子を咎める人は、ここにはいない。

何故ならここは、自由に水遊びができるウォーターパークだから。




「のろま」




そう言って小馬鹿にするように笑ったのは、何度もアタックしてようやく遊びに誘えた颯馬(そうま)くん。

強い日差しを受けて、茶色くも見える長めの黒髪と、灰色がかった瞳をしたクールな高嶺の花。




「そ、颯馬くんも涼しくしてあげる!」




馬鹿にするような笑顔でもキュンとしてしまった私は、気恥ずかしさを隠すように、魔力を水に変えた。

えい、と宙に撒いたのは、手で“握る”という表現が似合う大きな雫。