若旦那様の憂鬱〜その後の話し〜

コンコンコン。

病室に遠慮がちに聞こえてくる。

花をまだ寝かせておきたくて、柊生は急いでドアに駆け寄りドアを開ける。

「あら、柊生君お疲れ様。大会どうだったの?」
女将が花の様子を伺いに来てくてたらしく、手にはケーキの箱を持っている。

「女将もお疲れ様です。一応、優勝出来ました。」

柊生の報告を聞いて、丁度良かったわ、と嬉しそうに箱を差し出す。

「おめでとう。絶対、良い所には行くんじゃ無いかと思って、お祝いのケーキ買って来たの。後で2人で食べてね。」

「わざわざありがとうございます。」

「花は寝てるの?こっそり応援に行くって聞いてたから、ちょっと心配になって来てみたけど大丈夫そうね。」

「少しお腹が張ったみたいです。
疲れたみたいで帰って来てからずっと寝むってます。」
柊生は病室に女将を通しながら話す。

「起こしちゃいけないし、今日はこれで帰るわ。」
女将は入口で遠慮してケーキと柊生の夕飯を渡して帰って行った。

花はよく眠っている。
ケーキを冷蔵庫に入れ、柊生は花を見守りながらストレッチをする事にした。