どんなに威勢を張ってもやっぱりわたしは女の子なんだって思うしかない。


無理だ。

こんなの……無理だよ。



「あっ、御堂!なあ今こいつの───、うわっ、」



すでに脱衣場には居たのか、濡れた髪のまま向かってきた彼は。

わたしに乗っかっていた男を引き剥がし、そして。


ドガ───ッ!!



「ぐは…っ!!!」



痛々しいほど響かせてまでも、そいつを殴った。



「おいっ!!なんだ今の音……って、なんだこの状況…」



ドタバタと駆けつけてきたムツミ、ちょうど電話が終わったのか合流した琥珀くんも息を軽く上げていた。

それすら気にしないで、頼くんは殴った男に詰め寄る。



「なにしてんの?」


「な、なにって…、こいつ女っぽいから……からかってみただけで…、なにマジになってんだよ御堂…!」


「男だろうが女だろうが、レイプっていう立派な犯罪行為なんだけどそれ。…今ここに呼ぼうか?警察」


「じょ、冗談だろ…」


「本気だよ」



何かひとつでも誤魔化そうものならもう1発加えるつもりなんだろう。


濡れた黒髪が余計に真剣さを作る。

頼くんの恐ろしいほどのオーラに、異様なほど冷たく変わった夏の夜。