頼くんはいない。
なんやかんやいつも助けてくれる琥珀くんも別の女の子に夢中だ。
「やっ、やだって…!!」
どうしよう、怖い……。
自分が想像していたより、ずっとずっと怖い。
いつも仲良くしているクラスメイト。
名前を呼んでくれるクラスメイト。
のはずなのに、乗っかる重さや、どこか興奮しているようにも見える息づかい。
紛れもなく自分とは正反対の生き物なんだと思わせられる。
「ん…?お前、なかにもう1枚着てんの?」
「っ…!!」
頼くん、やっぱり意味ないよ。
たとえタンクトップ型にしたところで無理やり捲られちゃえばバレるよ。
「え、待って、おまえクソ肌やわらけーじゃん。腰もほっそ。なんだこれ、マジで女みたいなんだけど」
「うっ、ああああーーー!!よりくん…!!よりくん……っ!!」
助けて、たすけて、助けて。
びくともしない。
わたしだけじゃ退かすことなんかできない。
今日の掃除だって、重い物すら運べないわたしは床拭きや食器の整頓とか、そーいうものを女性スタッフさんと行うことが精いっぱいだった。



