とんでもない言葉がひとりの男から飛び出したのは、トランプも終わって頼くんが温泉に行っているときだった。
琥珀くんは離れた縁側で今も電話しているだろうし、ムツミも親戚に呼ばれて部屋を出ていた。
22時過ぎという、男のテンションが上がってしまう危ない時間帯。
「おっ、俺は男だよ!」
「ちっせーしほせーし、声もたけーし?」
「琥珀くんだって高いじゃん声っ」
「んー、だとしてもお前の場合は揃いすぎてんだわ」
じりじりと迫ってくる。
危険を感知したわたしは逃げようとしたのだけど、男の手に掴まれてしまえば。
わたしなんかの腕は小枝に変わる。
「ちなみにオレは両方いけるんだよなー」
「ひっ…」
「はははっ!ジョーダンだって!でもそんな顔されたら暴いてみたくなるよなあ~?」
「っ、お前らっ!おふざけが過ぎるぞ…!!うわあ…っ!」
ふわっと背中を支えた布団に安心なんかしている暇なく、乗っかってくるひとり。
これが男のノリ、これが男のノリ…!
心のなかで言い聞かせたとしても今はヤバいかも……っ。



