キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─





枕を並べながら、切なかった。

わたしが隣じゃダメかなあ?なんて一瞬でも考えてしまった自分が大嫌い。


振られてるんだからもう。

たとえわたしが女だとしても好きになることはないって。


そもそも琥珀くんからすれば、男から好かれてるってこと自体が迷惑極まりないのに…。



「カンナ」


「っ、」



しゃがんで、こつんっと、ぶつけてきたおでこ。

たぶん今のわたしの顔が、体育祭あとのわたしとまったく同じだったんだろう。


頼くんは元気づけるように顔を覗いてきた。



「カンナー」



ぐりぐりとおでこを擦り合わせてくる。

痛いって頼くん。
そんなにしたら頭蓋骨削れちゃう。



「俺っ、おとこ!」


「…えらい」



そーだよわたしは偉いんだ。

初恋をもう少し味わってみたかった、とか。
女の子として味わってみたかった、とか。


そーいうの思わないわたしは、すごくすごく偉いんだ。



「ムツミ!俺の隣でいい?」



気分を変えたいときにはムツミだ。

ぶんぶんと首を横に振って、わたしの隣にムツミの枕を並べる。