「なんでもない」と言って食らわせられた、優しすぎるデコピン。
もちろんわたしもシャワールームを使わせてもらうし、寝るときは琥珀くんを守るようにして頼くんの隣のつもりだ。
「なにこれ修学旅行みたい!」
シャワーから上がると、12畳の一間に敷き詰められた布団。
計8人の男子高校生が並んで眠る形が作られていた。
「ここは琥珀くん!」
「…俺的にはお前をそこにしたかったんだけど」
「俺は頼くんが居ればへーきって言ったじゃん!」
まるでわたしからのそんな言葉が聞きたかっただけみたいに。
頼くんはふわりと微笑んだ。
「みんな!ここは琥珀くんだからなっ」
「へいへい」
スマホに携帯型ゲームに、男たちは至って興味がなさそう。
だとしてもわたしの次にシャワールームへと向かっていった彼の定位置は、ちゃんとしっかりと確保だ。
壁際の端、その隣は誰にしようかと迷うなんてことはしてはいけない。
「琥珀くんの隣は……頼くんね!」
「俺?」
「幼なじみが隣なら…琥珀くんも落ち着くだろうし……、その隣が俺で…」



