そんなわたしたちを見て動いた男がひとり。
この古民家の経営者でもあるムツミの親戚に、なにかを聞いているようだけど…。
それからわたしの隣に戻ってきて、耳元。
「スタッフ専用のシャワールームがあるって。寝るときは俺の隣で端っこ取ってあげるから」
「…!」
さすがすぎるぞ、頼くん。
わたしは君になんてお礼をしたらいいか分からないです。
頭を90度下げるのでは足りない。
お歳暮かなんかで高級ゼリーでも渡したほうがいいかな。
「琥珀くんっ、スタッフ専用のシャワールームがあるのと、寝るときは端っこでいーから!心配しなくて大丈夫だよ!」
「ねえ、俺がお前だけに教えた意味」
そう、別にわたしどうこうじゃなく。
こういう場に慣れてなさそうな琥珀くんが窮屈にならないようにしたかったのだ。
だから頼くん、本当にありがとう。
「だって俺なんかは頼くんさえ居ればへーきだからっ!」
「……あー、くやし」
「へ?」
「…おまえの無自覚、わりと困ってるよ俺」
「なにが??───あうっ!」



