キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─





それは16時を過ぎた頃だった。


最初は小雨だったから通り雨だろうと、すぐ止むだろうと誰もが気にかけていなくて。

ずっと良い天気が続いていたし、今日も雨予報は出ていなかった。


しかし17時を回り、そろそろ帰ろうかとみんなが準備をし終わった頃。



《ここで交通情報です。大雨による土砂被害による通行止めとなっており、
○△駅から外回りのバスは現在、運行停止とのこと。繰り返します───》



リモコンを手にする先、なんとわたしたちが利用するバス情報だった。

ニュースキャスターが生き急ぐように繰り返す内容は、《あなたたちは今日帰れませんよ》というお知らせ。



「えっ、帰れねーじゃん!!」


「おいマジかよ…、ここに泊まり?」


「…に、なるよな?」



なんということだ。
いやいや、そんなことされたら困る。

帰れない→よし泊まっていこう。

そんな単純には考えれないのわたしは……!!



「おばさーん。どうせ今日は休館にしてあるし、余裕だよな?」


「そうね。こんなに綺麗にしてもらっちゃったし、みんなでお泊まり会よ!」


「ってことで泊まってけお前ら!!揃って雑魚寝になるだろうけど温泉あるぞ、飯もあるぞ!!」


「「「おーーっ!!」」」