キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─





「頼くん…?俺もう大丈夫だよ!」


「…もーちょっと」


「え…、わ…っ」



水に濡れた髪、肌、お互いの体温。

更衣室にふたりきり。


わたしとは明らかに構造も何もかもが違う、本物の男の子の身体。



「…ねえすっごい柔らかいんだけど。おまえのカラダ」


「へっ、変態っ!!頼くん変態すぎ!」


「そーそー。カンナチャンには分からないだろうけど、男なんてこんなもんなの」



出た、いじわるな頼くん。

女の子のわたしを見つけて、腕を掴んで、顔を覗き込んでくる頼くん。



「でも頼くん、どうしよ…、余裕で下までビチャビチャ…」


「とりあえず俺のジャージあるから貸すけど、……下着もってこと?」


「…うん。さすがに替えは持ってきてないから……」


「………ノーパンノーブラジャージ?」



こくんと、ここはもう正直に認める。



「……やば」


「…本当にごめん…」



「たぶんお前と違う意味だけどね」と付け足された、よく分からない言葉。


それから彼が満足するまで抱っこされて、無事に着替えてから教室へと遅れて戻ったその日は。

ノーパンノーブラジャージ野郎の隣に注意深く居てくださった頼くん───。