よく分かんないけど溺れたふり…っ!
水面に顔を浸けてバシャバシャと暴れてみる。
すると、水中。
ガシッとわたしの身体に腕を回した頼くんは。
「わー、たいへんだーー」
溺れた(ふりをする)わたしを棒読みしながら運んで、プールサイドに用意されていた乾いたバスタオル。
「わっ…!わ、…わあ…」
とりあえずプール外へ出たわたしを即座に抱き上げ、誰にも気にされない速度で背中にパサリとバスタオルが掛けられた。
頼くんに抱っこ、されております……。
上半身裸のイケメン(頼くん)に、抱っこ、されております。
こうなったなら巻きつけるしかないぜ、わたしの足。
「こいつ溺れちゃったみたいで。ほんとアホだよねー」
周りの視線に対する応答を自発的に行ってゆくスタイル。
スタスタスタスタ。
気づけば誰もいない更衣室に到着。
「頼くん頼くん頼くん…っ」
「はいはい。俺に最大の感謝じゃん」
「頼くん!!!ありがとう命の恩人……!!!」
感謝しまくる。
明日から、いや今日から、頼くんに最大の敬意を表すと誓う。
……にしても抱き上げられた身体、なぜか下ろされず。



