キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─





「うわああああ頼くん…!助けて…っ」


「…?───っ!カンナ…!」



遠くにいた友達が焦ったように走り向かってくる。

だとしてもすでにわたしの身体、なぜか宙に浮いておりまして。


バッッシャーーーン!!!


大きく上がった水しぶき。
THE男子高校生の夏、ここにあり。



「ぎゃはははっ!サイッコーだろカンナ!!」


「んだよ溺れてねーじゃん!!サボりがよー!」


「お前ら…っ!来世まで呪ってやるからな……!」



正直、めちゃくちゃ気持ちがいい。

そりゃあわたしだって入れるものなら入りたかったさ。

30度超えた暑さ、プールにも海にも行きたいよ本当なら…!!


だが、しかし。


視線を落としたわたしは、とんでもないものを見つけてしまう。



「っ……!!」



やばい、これ……出られない。

完全にジャージが肌にくっついちゃってる…、


このまま出たらタンクトップ型とはいえ、身につけたサラシが男たちにもくっきり分かるほど主張している。


それに更衣室……、
男子用しか、ないよね……?