『えー、見てみたい!部屋にあるかなぁ?』
歌集の名前は、“豊玉俳句集”だということは教えてくれた。
今、丁度トシくんいないし、掃除の振りをして探ってみようか…。
でも、トシくん用心深そうだし、見えないところに隠してそうだよね。
「位置違うんバレたら殺られるで」
ほんま恐ろしいでー、とケラケラ笑う山崎さん。
どうやら山崎さんはバレたらしい。
へー、ほー、ふーん。
バレたら殺されるだって??そんなの…。
『上等!!』
断然面白いを取るに決まっている!
「俺と同士や、アキ!!」
すっかり馬が合った僕達は目を輝かせながら、ガシッとお互いの腕を組む。
よし、トシくんの歌の上手さをお手並拝見といこうじゃないか!
「こらこら」
それまで、僕達の会話を傍観していた山南さんに突っ込みを入れられる。
「人の物を勝手に見てはいけませんよ」
ヤンワリと諭してくる山南さんに、僕は迷わず山崎さんを指差した。
『山崎さんが見てまぁす!』
「おい、アキ、裏切るんか!!」
全く酷いわぁ!と山崎さんは僕を非難してくる。
この世に裏切りなんてザラでしょ(笑)
それに僕、“未だ”やってないもん。
「アキさんもやりかねませんから、ちゃんと聞いて下さい」
僕の企てを見越した山南さんはハァと溜息を吐いて、そう言った。