話し合いは解散になり、僕はソウ君と二人部屋で過ごすことになった。
ソウ君に案内されて、部屋に到着した。
相部屋か、着替えの時注意しないとなぁ。
まぁ、僕の方が早起きすれば問題はないだろう。
最悪、僕の得意な力でどうにかしよう。
…それにしても、誰かと一緒に寝るのは何年振りだろう?
この十年の間でも、滅多になかったんだよね。
船での移動の時に雑魚寝とかはあったけど。
ソウ君は障子を開けて、先に入っていった。
僕はその後を追う。
ソウ君の部屋は机くらいしかなかった。
相変わらず物持ちが少ないなぁ。
ソウ君は昔から物に対して余り執着がないようだ。
甘味が特別大好きってくらいだろうか。
「一応予備もあるから、二人分敷きますね」
押し入れから布団等を取り出したソウ君は丁寧に畳に広げていく。
『え、僕、自分でや「いいから」…あい』
ピシッと拒否され、僕は黙ってソウ君の行動を見守った。
敷き終わった布団に、僕は『ありがとう』とソウ君にお礼を言った。
ソウ君は、そっぽを向くと片方の布団の上に座り、刀を布団の脇に置く。
「…別に。
さっさと寝たらどうですか」
照れ隠しなんだろうな、と思いながら、僕は言葉に甘えて布団に仰向けに寝転がった。
ソウ君、昔から照れると顔隠してたもんね。
僕が眠るまでにソウ君が此方を向くことは無かったけど、気にはしなかった。
会話も何もないのに、この空間はとても居心地が良いと感じた。
暫くして、眠くなった僕は瞼を閉じて、ポツリと呟いた。
『…おやすみ』
良い夢が見れますように。
意識が無くなったあと、ソウ君が掛け布団を僕の上にかけて、僕の顔にかかったサラリと前髪を避けた。
そして、額にそっと口を落として、囁く。
「おやすみ、アキさん」



