「で、誰を選ぶ?アキ」


トシくんに選択権を投げられてビックリした。


『え、僕が決めてもいいの?』


まさか、自分で指名する展開が来るとは思わなかった。

たかが一介の小姓が選んでもいいのだろうか?


広間にいる全員から目線が注がれる。

うわ、責任重大じゃないか。


うん、トシくん、ソウ君あたりから無言の圧がかかってるなぁ。


別に誰でもいいんだけど。

暫くの間、隊士達に視線を彷徨わせて。

ポツリと呟いた。


『ソウ君かな』


一番世話の手間がかからなさそうだし。

迷わず答えたら、隣りにいたソウ君が「アキさん…」と何故か嬉しそうに僕の肩を自分の方へ寄せる。


「理由は?」


トシくんが恨みがましい目でソウ君を睨めつけている。

他の人達(複数人以外)も同じくソウ君を敵視していた。

え、理由?理由とか要るの?


『うーん、手間がかからなさそうだから?』

「………」


僕がサラッと口に出すと、ソウ君が何でか落ち込んでいた。


うーん、昔からソウ君に対しては世話が焼ける印象がないんだよね。

トシくんは論外として、他の人達は未だ知りもしないし。

世話係はしてもいいけど、できるだけ重くない方が良い。