焦る私とは反対に相変わらずクールな藤宮くん。


「別に誕生日だからってわざわざ祝ってくれなくてもいいけど」


「祝いたいよ!藤宮くんが生まれてきてくれた日なんだから!」


 私が前のめりになって返答すると、藤宮くんはやれやれといった感じで、「まぁ、佐藤はそういうイベント事とか好きそうだもんな」と言った。


「誕生日、6月6日」


「6月6日、6月6日……って!明日じゃん!」


 もう一度スマホの画面をとんっとタッチすると、『6月5日13時08分』と表示された。


 やっぱり明日!


「え!え!大変!お祝いしないと!」


 私が慌てていても、藤宮くんは相変わらず落ち着いていて、事も無げに言う。


「高校生にもなって誕生日とか、どうでもいいだろ」


「よくないよ!絶対お祝いする!」


 私がこうと決めたら猪突猛進なのをもうよく知っている藤宮くんは、それ以上は何も言ってこなかった。


「はいはい、ありがとな」


 と適当に返事をして、私の頭をぽんと撫でた。


 私は急に頭を撫でられて、少しびっくりしたけれど、恥ずかしさと嬉しさから何も言えなくなってしまって、しばらくそのまま俯いて過ごした。


 藤宮くんのお誕生日のお祝い考えなくちゃ!絶対喜んでもらうんだから!