「好きな人? ……いるけど。」

 はっきりと、迷いなく言われたその言葉。

 それはあまりにも鋭い刃となって、私の心に突き刺さった。

「どう、思ってるんですか? その、好きな人のことは……。」

「どう……って言われると難しいな。強いて言うなら……結構、惚れてる。今の俺にはそう言うしかないが。」

「そ、う……なんですね。」

 きっと、今の自分は過去一番惨めで無様だろう。

 自分で聞いておいて、悲しく苦しくなる……なんて。

 どこまで自分は、馬鹿なんだろう。

 分かっていたはず、予想できたはず。

 そのくせ、まだ希望はあるって縋りつきたくて。

 思い切って蓋を開ければ、どうしようもなくしんどくて。

「私、応援してます……っ。」

「……さんきゅ。」

 苦しい気持ちで言った言葉は、どこまでも震えていただろう。

 踏ん切りなんて、余計つけられなくなった。

 理仁さんのことをいつの間にか好きになっていた……って、改めて理解してどう諦めたらいいのか分からない。

 それでも、私にはどうしようもできない問題だから。

 ……悲しくても苦しくても、応援するしかないんだって、諦めようと頑張ろうと思った。