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「サク、はよーっす」
「え……あ、春宮くん、おはよう」
声をかけられて、動揺しながらも挨拶を返す。
び、っくりした……。
さっきから考え事してた。
「どした?」
黙っちゃったのを不思議に思ったのか。あたしの顔をそう覗き込んできたのは、春宮 孝くん。
クラスメートの男の子だ。誰にでもフレンドリーで、クラスでも目立つほう。
あたしが『サク』て呼ばれてるのは、あたしの苗字『櫻井』だから。
「んーん。ちょっと考え事」
「……それって、恋愛とかそういう系の?」
そうはぐらかすと、そんな言葉が返ってくる。
まってまって……文脈おかしくない?
急に真剣になった春宮くんに、慌てて答える。
「ないないない……!」

