ヴァンパイアガールズ

「そんな……! アリサ,君はちはやの相手が人間でもいいと言うのかい?」

「あーらあなた,まだ血筋の話をしているの? 私の知り合いだって人間の男と結婚したわ。人間も悪くないのよ,犬みたいに真っ直ぐで可愛いんだから」

「関係ないよ,周りも人間も……この家はずっと……」

「そもそもそれ,私の方の家の話でしょう」

「だけど僕は君に嫁いだからには……」

「私がいいといったらいいの」



2人の足が少しずつ上に浮いていく。

背中にはコウモリの羽が生えていた。

迫力のある夫婦喧嘩を間近で眺める。

どんどん目線は高くなっていった。



「考えが古いわ,あなた。家の力なんて,都合よく利用できればそれでいいの。人口だってもう人間ととんとんなのよ? 私達,自分の意思以外では大抵死なないのに,何を恐れろと言うの? 減りそうなら死ななきゃいいの」

「……誰だよ婚姻は親の決定権とか決めたやつ。ろくなやつじゃない。そんなの無かったら今頃浅海はとっくにちはやが連れ去っておしまいなのに」



古いだのなんだのいう話に入ったからか,シュウがボヤく。

事の顛末なんて心底気にしていないんだろう。



「ちはや」



父親がちはやを呼んだ。

ちはやの眼が鋭くなる。



「どうでもいい他の家とは違うんだ。僕は大事なアリサの事情も汲まなくちゃいけない。どうしてもその人間がいいなら……」



カチリと音がした。

もしかすると,所持しているあたり最初からそうするつもりだったのかもしれない。

残念そうに敢えて作られたその表情が,私の頭に残った。