一瞬、ビクッと身体を強ばらせたが、襲いかかってくる気配は一向になく…。
私は状況を確認するため、恐る恐る閉じていた瞳を開いた。
「え、烏丸…先輩?」
私を守るように前に立っているのは、最近、姿を見なかった翔月で…。
そして、先ほどまで私に襲いかかろうとしていた男性は苦しそうに地面に蹲っていた。
え…?待って、どういうこと?
さっき、私を抱き抱えたのは烏丸先輩だよね?いつの間に、この人倒れて…。
ものの数分で目まぐるしく変わってしまったこの状況に、私の頭が追いつかない。
「先輩…どうしてここに?」
「さっき、お前のクラスメイトと廊下で会って、助けてって言われたからな」
「…!!」
そっか…北澤さん達が先輩を呼んでくれたんだ。
ほんの少しだけ、胸に感じた温かい気持ちに私は小さく微笑む。
「さて、と。おい、そこのお前…自分が仕出かしたことの重大さはわかってんだろうな?」
「…っ、何者だ?」
ギロッと睨みつけてくる男性に対し、フッと小馬鹿にしたような笑みを浮かべると。
「どこの家系か知らねーが、最近の下級家系は教養もねぇようだな」
翔月は呆れたようにそう言い放つ。



