「あれ?もしかして、逃げようとか思ってる?ふふ、可愛いなぁ…」
不意に、見透かされたような男性の発言にドキリとするも、私は平静を装い彼を見据える。
「…あなたこそ、こんなことしてただで済むと思ってるの?」
「俺だってそう思うけど…キミの血の匂いには逆らえないんだよね…じゃあ、そろそろいいかな…?」
「…ッ」
その言葉と同時に、私との距離を詰めた男性が強い力で腕を掴んだ。
そして、傷口を押さえていたハンカチを強引に奪いとり、うっとりした表情を浮かべる。
ゾクッ。
「は、はなして!」
身の危険を感じ、懸命に腕を外そうとするが女の力では歯が立たなくて、悔しさからポロポロと、瞳から涙が溢れた。
「泣かなくて大丈夫だよ。1回で飲みほしたりしないから」
嫌…!
近づいてくる男性の気配を感じ、私がギュッと目を閉じた時。
突然、キツく掴まれていたはずの腕の力が緩み、私の身体は後方から誰かに優しく抱き抱えられる。



