鞄の中からゴソゴソと、ハンカチを取り出し、ギュッと傷口を押さえ安堵したのも束の間。
「…!?」
ゾクッと背後から嫌な気配を感じ、思わず身体をそちらに向ける。
「こんにちは。キミ、良い匂いだね」
「…っ」
そこには、20代前半くらいの若い男性の姿があった。それなりに容姿は整っており、道端ですれ違えば人目を引きそうな好青年に見える。
「な、何…?不審者…?」
「ここ、学校内よね…」
突如として現れた見知らぬ男性に、北澤さんを始め、取巻き達がざわついた。
「…あなた誰ですか?ここ学校の敷地内ですけど、部外者が勝手に入っていいんですか?」
ひとまず、話し合える状態なのか確認するため声をかけてみる。
「あぁ…そう。ここ、学校か。ゴメンね…風にのって今まで嗅いだことのない美味しそうな匂いがしてきたから気にしてなかったよ…まぁ、いいでしょ?」
一見、冷静に答えているように見えるが、言ってることは無茶苦茶だし、何より貼り付けたような笑みに鳥肌が立った。



