シレッと口を開き、凪の横の空席に腰掛けているのは有栖川怜也。

いやいや、お目付け役なら注意してほしいんですけど…。

当たり前のようにその場に佇む2人に私はジトッとした視線を送った。

「それに俺達が来ることで周りも嬉しそうだし…ね?」

フッと不敵に微笑む怜也に私は小さくため息をつく。

確かに最初は、彼等がうちのクラスに顔を出すことで他のクラスメイトにやっかまれるのではと心配していたのだが…。

『ありがとう…!2人のおかげで毎日、先輩たち見れて幸せだよ〜』

『うんうん…!この前なんか有栖川先輩が私の椅子に座ってたの!』

と、意外にも好意的な反応が多かった。

まぁ、北澤さん達のグループは、2人が帰った後、恨めしそうに睨んでる視線を感じるんだけどね。

「ねぇ、凪くん。そう言えば、翔月くんは?最近、姿見えないね」

芽亜里ちゃんが不思議そうに小首を傾げて凪に問いかけた。

確かに言われてみれば、ここ数日、烏丸先輩の姿を見ていない。

少し前までは、有栖川先輩ほどではないにしろ時々は顔を見せていたのだけれど…。