「つまんないの」そう言いつつ、近くにあった椅子にストンと座った凪はポケットからスマホを取り出し何やら操作し始める。

「まぁ、凪じゃねぇけど…しらばっくれるならこっちにも考えはある」

「…ッ!?」

ホッとしたのも束の間、今度は翔月がいつの間にか私の目の前に立ち、ガシッと腕を掴んだ。

とっさに振り払おうとするも、さすがに力で勝てるわけもない。

私はそのままなすすべなくさっきまで寝ていたベッドに押し倒された。

「離して!」

こんなヤツに血を吸われてたまるかと懸命に抵抗するも「…無駄な抵抗だからやめとけ」と簡単にあしらわれ、思わず悔しさからキュッと唇を噛みしめる。

その時、一瞬だが翔月の瞳が揺らいだ気がして私は目を見張った。

「本当は僕が味見したいの我慢してるんたから、翔月くんさっさとやっちゃいなよ」

「記憶はあとで消せばいいんだから、早くしなよ?」

「わかってるつーの」

チッと、イラついたような表情を浮かべると、ゆっくり私の首筋に顔を近づける。

そして、ペロッと首筋をひと舐めし、口を開いたその時。