「凪も、失礼だよ…彼女、怖がってる」
ハァ…と呆れたように注意する灰色の彼に金髪の少年は「えー?挨拶なのに?」と呟きつつも、私の側から離れて2人のもとに駆け寄って行った。
「…ったく。俺はお前らほど器用じゃないから多少はしょうがないんだよ」
漆黒の彼は、ブツブツ文句を言いつつも、先ほどよりはだいぶ気配を抑えてくれたのか、私の体調も改善してきてようやくホッと胸を撫で下ろす。
「これでいいだろ?それで、本題に戻るが、お前…何者だ?」
「私は…今年からこの学園に入学してきた新入生です…けど」
「そんなのはわかってる。何で俺等の気配を感じ取れるのかって聞いてんの。お前の匂いはほぼ、人間と変わりない。けど…何か違うんだよ」
訝しげな表情で尋ねてくる漆黒の…翔月と呼ばれている彼に私は内心、冷汗が止まらなかった。
「だよねぇ…。いい匂いだけど」
「…確かにね。それに今まで会ったことないタイプの気配だ」
金髪の少年、凪と、灰色の瞳を持つ怜也という彼も続けざまにそう言葉を紡ぐ。



