「芽亜里ちゃん、急に廊下の方が騒がしくなったけど今日、なんかあるの??」
何事かと不思議に思って、芽亜里ちゃんに尋ねてみた私。
すると、先ほどまで笑顔だったはずの彼女はまたもや顔色が優れない。
ただ、北澤さんの時とは少しだけ雰囲気が違う。怖がっているというよりは、ただ困惑しているような…。
その間にも徐々に近づいてくる歓声は、とうとうA組の教室の前までやって来た。
なんなの…?
ソッと私が芽亜里ちゃん越しに、廊下へ視線を向けると、そこはたくさんの女子生徒でごった返していた。
そして、そんな女子生徒たちの中心。
明らかに周りと違うオーラを放つ3人の男子生徒の姿。
「……!」
その3人の姿を視認した時、私は思わず言葉を失った。
なんで、この学園に…?
だってそこには、人間の学校にいるはずのない"彼等"がいたから…。
そう…、先ほどまでは感じなかった人とは違う"ヴァンパイア"の気配。
しかも、その辺のヴァンパイアとは比にならないほど強い気配だ。
「…っ」
気持ち悪い…。
急に感じた強い気配に当てられたのか、気づけば私は床に伏せてしまっていて。
「柚葉ちゃん!?大丈夫…!?大変…保健室に…」
心配そうに名前を呼ぶ芽亜里ちゃんの声を最後に私はフッと、意識を手放していたのだった――。



