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「柚葉ちゃん、ゴメンね。入学したばかりで変なことに巻き込んじゃって」
ホームルームが終了し、帰り支度をしている私の席にやって来た芽亜里ちゃんは今にも泣き出しそうな表情で。
元々、色白な彼女の顔色はさらに白く、血の気が引いている。
「芽亜里ちゃんは、何も悪くないんだし謝らないで?」
「でも…っ!私のせいで北澤さんに目をつけられたかもしれないし…」
中学時代に彼女たちの間で何があったのかわからないが、芽亜里ちゃんのこの焦りようを見ると過去に、相当やられたのだろうと安易に想像できた。
…ヴァンパイアも、人間も、結局本質は変わらないわね。
そんなことを考えつつ、私は芽亜里ちゃんに向かって。
「大丈夫。私もね、わりとやられてきた口だから慣れてるの。それより、芽亜里ちゃん、もう帰る?家どこか知らないけどよかったら途中まででも一緒に帰ろうよ」
と、笑顔でそう声をかける。
「…うん。柚葉ちゃん、ありがとう」
泣き笑いのような表情だが、ようやく笑顔が戻ってきたことに内心、ホッと胸をなでおろした時。
「キャー…!」「カッコいい…」
廊下の方が騒がしくなり、黄色い歓声が飛び交い始めた。



