血筋だの、愛人の子だの…バカみたい。
どこの世界もくだらないことで人を除け者にする連中ばかりで本当に嫌になる。
「…お誘いありがとう北澤さん、でも遠慮するわ。私、芽亜里ちゃんと友達になりたいもの」
満面の笑みで北澤さんにそう言い放つと、芽亜里ちゃんは伏せていた顔を上げ、私に驚いたような視線を向けた。
「あ、あなた私の話、聞いてたの…!?」
私が断ったことに対して、信じられないとでも言うように、彼女はワナワナと体を震わせる。
「えぇ。聞いてたわ。というか、愛人の子だから何?芽亜里ちゃんには一切関係のない話でしょ。それに、男関係がどうのっていう話もねぇ…。そんなに誘い上手で計算高いタイプには見えないもの。そうね…例えば、モテないクラスメイトの僻みとかで変な噂を流されたのかもしれないし…?」
「…っ!」
その瞬間、カッと彼女の頬が朱に染まったのを私は見逃さなかった。
なるほどね…。つまりは、可愛い芽亜里ちゃんに対する嫉妬ってわけか。
未だ笑顔を崩さない私と、悔しそうに私を睨みつける北澤さん。
最後には「ふん、勝手にすれば!?」と捨てゼリフを吐いて、廊下の1番端にある自分の席へ戻って行ってしまったのだった――。



