「…い、いえ!謝ることなんて…。私の髪色はこっちじゃ珍しいですし…」

フルフルと首を横に振り、慌てる彼女に私はクスッと笑みをこぼす。

「気にしてないならよかった。あ、私の名前は東雲柚葉。1年A組、よろしくね」

「…わ、私、藤峰芽亜里(メアリ)と言います。東雲さんですね?私もA組なんで、同じクラスで嬉しいです…」

フフッと上品に笑う彼女は、まるで天使のようだ。

「柚葉でいいよ?私も芽亜里ちゃんって呼んでいい?」


「はい…!もちろんです。じゃ、じゃあ…柚葉ちゃんで…!」


「うん、芽亜里ちゃん。よろしくね」


初日から幸先がいい。

そう思った。

だって、こんな可愛い子と知り合いになれたんだもん。

しかも同じクラスか…もっと芽亜里ちゃんと仲良くなれたらいいな。

そんな淡い期待に胸を膨らませ、私は芽亜里ちゃんと共に1年A組の教室に向かって足を進める。



でも、この時の私はまだ気づいていなかったんだ。

彼女との出会いが、今後の私の理想とする平穏な学園生活に影を落とすきっかけ、つまりは…彼等と出会うきっかけになるなんて――。