「同感だな。料理上手な可愛い妻だったら最高だ」

 クストディオが隣でつぶやいたけれど、力いっぱい無視してやった。

 すると、ローテーブルをはさんだ向かいの長椅子に座っているフェリペがプッとふきだした。

「なあに、フェリペ。あなたも料理やスイーツ作りは可愛い妻がすべきだ、という考えなわけ?」

 冗談っぽく睨みつけると、彼は可愛い顔を真っ赤にしつつ「ブンブン」と音がするほどそれを左右に振った。

「いいえ、違います。ぼくは、男女どちらがやってもいいという考えです。もちろん、可愛いとかカッコいいとか、そういう容姿は関係なくです」

 生真面目に受け取り、応じてくれた彼が尊すぎる。

 是非ともだれかさんにも見習っていただきたい。

 そのだれかさんに視線を走らせると、だれかさんもこちらを見ていたので視線(それ)が合った。

 瞬時にアイコンタクトを取ってから、視線をローテーブルの向こう側へと戻す。

「ほんとうは夫婦ではないということをヘルマンに黙っていてくれてありがとう」

 お礼を言った。エドムンドに、である。