ヘルマン・サルディバル王子のいわゆる隠れ家のひとつらしい。彼らのような支配者階級は、万が一なにかあった場合に逃げたり隠れたり出来るよう、家屋敷を準備していることがすくなくない。

 ヘルマンに過剰に負担をかけたくない。というよりか、ムダに借りをつくりたくない。彼が把握している状況下に無防備に身をさらしたくない。
 
 しかし、他に知り合いや伝手がない以上、いまのところはヘルマンに甘えるしかない。

 というわけで、いまは彼の屋敷で世話になることにした。