「きりがないわ。あなた、男でしょう? スパッと言いなさいよ」
「きりがないだろう。レディファーストだ。ズバリ言ってくれよ」

 またまたまた? 苛立ちが頂点に達する。

「ドンドン」

 そのとき、馬車の扉が激しく叩かれた。

 驚きのあまり、二人して飛び上がってしまった。

 このときになってやっと、馬車が停止していることに気がついた。