隣国との国境近い領地には、皇都を出発して二日後には帰ることが出来た。

 お兄様や領地の屋敷の使用人たちは、総出で出迎えてくれた。

 お父様もお母様も道中はプリプリ怒っていたけれど、領地に戻ると怒りを忘れたようだった。

 そして、皇都からも世間の目やしがらみからも遠く離れてのんびりまったりした日々を満喫していた。

 とはいえ、まだ十日も経っていないのに刺激がなさすぎてすでに暇を持て余しつつある。

 乗馬と読書と使用人たちを揶揄ったり怒らせたりすることで、暇を解消している。

 使用人たちは、最初こそありもしない理不尽きわまりない理由で婚約破棄されたわたしに気を遣っていた。が、それもすぐになくなった。

 まあ、わたしが彼らにちょっかいをだしたり、わざと怒らせるようなことをするからだけど。

 そうこうしている間に、皇都から客人がやって来た。