(仕方がない)

 祈るような気持ちで、そのまま左を下にして布団に沈んだ。そして、瞼を閉じた。

 はやい話が、眠っているふりをしてみた。

「な、なんてことなの?」

 彼女の叫び声が耳に痛い。

 その直後、おれは彼女の枕攻撃に晒された。

 彼女には、どんな言い訳も通用しなかった。

 翌朝、よりにもよってヘルマンにいやらしい想像をされ、カヨを余計に不愉快にさせてしまった。

 ヘルマンめ。胡散臭いだけでなく、聞き耳を立てていたのか。

 そう考えると、よりいっそう不信感が募る。

 すぐにでも彼の前から去りたくなった。

 だから、そうした。

 王都に向かうと言い、彼の前から去った。