「世紀の悪女」と名高いわたしと違い、呆れるほど人のいいお父様とお母様は、使用人たちの移動費用まで負担するという。

 侯爵領にあるわが屋敷の敷地内には、使っていない家屋が数軒ある。そこを改装して使用人たちの住居にする予定にしている。屋敷内にはもともと使用人用の部屋があり、まだ使用していない部屋もあるので、独身者は屋敷内のその部屋で生活すればいい。

 いま現在、わがセプルベタ侯爵領の領地の経営はお兄様が行っている。

 彼もまたわたしと違い、キレ者で人がいい。

 お父様にかわり、堅実に領地を経営をしている。