とりあえず、ヘルマンからの一方的な情報ではあるけれど、多少なりとも様子が知れた。

 いずれにせよ、自分の目で確かめる必要がある。
 暗殺された国王の遺言でおれが後継者だということも含めて。
 
 ということは、シンプルに考えても他の王子、あるいは権力者たちもおれを捜しているのかもしれない。
 おれを担ぎ上げるのか逆に亡き者にしようとするのか、その内容はともかく。

 ヘルマンは、いまのところはおれに好意的でさも味方のように振る舞っているが、そもそもそこが胡散臭い。
 最初から胡散臭かったが、おれが後継者だと知れてからよりいっそう胡散臭く思える。

 それどころか、おれを利用するだけ利用して裏切る気満々のようにしか感じられない。

 というわけで、彼は信じない。
 ヘルマンは、姑息な策士だ。

 あらためてそう結論づける。