「きみには、手を出すほどの色気や可愛さがまったくない」
「な、なんですって?」

 自分でもわかっている。わかっているからこそ、クストディオにあらためて指摘されると腹が立つ。

「したがって、いっしょの寝台で並んで寝ていても平気なわけだ」

 彼の勝ち誇ったような表情。わたしの堪忍袋の緒は、完全に切れた。

「クスト、歯を食いしばりなさいっ!」

 気がついたら枕を床に放り捨て、彼に平手打ちを食らわせていた。

 わたしがだれかに暴力をふるうなんて、クストディオ以外にはありえない。

 たぶん、だけど。

 その後、カーテンの隙間から夜がしらじらと明けかけているのをうかがいながら、口惜しさと情けなさでいっぱいになった。