「いや、そうではない。おれがききたかったのは、おれの妻ってところだ」

 癒されていると、クストディオが迫ってきた。その勢いに驚いてしまった。

「妻? ああ、そういった方があのクズ男には効果的でしょう?」
「そうか、そうだよな」

 彼は、なぜかガックリ両肩を落とした。

 本心は、偽装とはいえ彼の妻を名乗ることはうれしい。だけど、そんな素振りは見せられない。彼に迷惑でしょうから。

 でも、このままふりを続けていれば、彼もそのうちわたしに情がわくかもしれない。それに、わたしも自分の気持ちに整理がつくかもしれない。

 彼のことが気になりすぎてどうにかなりそうな、そんな気持ちが。