カヨが立てた作戦は、まず王宮内に噂を流す。宰相が殺されたということと、亡くなった国王の血をひくおれも死んだという噂を。流す、というよりかは彼らの耳に入ればいい。当然、宰相は公には出て行けない。当然、おれもだ。そして、噂が王子たちの耳に入ったであろうタイミングで、カヨが彼らに会う。ヘルマンは、ほかの隠れ家に行くようなことを言っていたが、そのような場所はなく、王宮に戻っているはずだ。そもそも、彼は王宮から逃げだす必要などなかった。おれをひっかける為、わざわざ王都外のあの隠れ家にいたのだ。

 それはともかく、カヨが乗りこめば、彼らは彼女をどうにかしようとする。

 おれは、どちらかが彼女を婚約者か妻にすると言い出すのではないかと推測している。が、カヨはそうとは考えておらず、拷問や尋問をされると考えているようだ。

 いずれにせよ危険だ。拷問や尋問もさることながら、婚約者や妻にされることも。